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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
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中国語が飛び交う宿
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    あけましておめでとうございます。

     

    年末に、暮れのあいさつをしようと思ったが、

    宿泊客が多く、多忙だったので、書けなくなった。

    それも、このところ少なかった外国人客が、

    この小さな宿にも次々とやってきたからだ。

     

    ベトナム人とマレーシア人のカップル、

    香港からの30代の夫婦、中国人の若い女性の2人連れ、

    日本で学ぶ中国人女子留学生などなど。

    宿の喫茶スペースで、お互い中国人だとわかると、

    中国語で話しかけたりしている。

    ここは中国の女子学生寮で、私は舎監か。

    そんな気分になってくる。

    わが宿に来る外国人は、ありがたいことに、みんな

    日本語が話せる。

     

    香港から来た夫婦は、店に着くなり、男性のほうが

    ニコニコして私を見ている。

    「おぼえていますか、私は11年前にここへきて

    泊ったんですよ」という。

    「え〜っ、そうなの? よくいらしてくれましたねぇ」

    と私。感慨もひとしおだ。

    「あのとき、妻も一緒でした。朝ごはんがおいしかったです」と。

    「今はねぇ、私も年をとって、食事の用意ができなくなったの。

    ごめんなさいね」とあやまった。

    2人をツインの洋室に案内すると、

    「あっ、前の時もこの部屋だった」と喜ぶ。

     

    2人は出かけて行って、帰ってくると、大きなオードブルみたいな

    食事を買ってきて、喫茶ルームで、

    「ここで食べてもいいですか」という。

    「どうぞ」と私。店番をしている私に、

    男性のほうが話しかけてきた。

    彼はかなり日本語が話せる。

    「どうしてそんなに日本語が話せるんですか。留学したことがあるの」

    と聞くと、留学はしていない。自分で10年ほど勉強していて、

    日本人の知り合いとネットでよく会話しているんだという。

     

    「なんのお仕事をしているんですか?」と聞くと

    「私は国の病院の会計士をしています。妻は幼稚園の先生です」

    と。

    彼女は日本語が話せないようで、疲れているようだった。

     

    以前に中国人の6歳ぐらいの男の子が、お母さんと2人で

    泊ったことがあり、その子がお母さんをひどくぶったり、けったり

    しているのに驚いたことがあった。

    この人はまま母なのか、と思ったぐらいだ。

    中国は一人っ子政策で、おかあさんが働いているので、

    子供は祖父母に育てられているため、ものすごく甘やかされて

    わがままなんだ、と後からほかの中国人に聞いた。

    あんなにむちゃくちゃ暴れる子供たちをみている

    幼稚園の先生は、どんなにか大変だろうと察した。

     

    「香港にきてください」と彼は言った。

    「私は、一度行ってみたいと思っていました。

    夜景もいいけど、中国の民芸品や名物を売るバザールの

    ようなところがあったら、行ってみたいの」というと、

    スマホで、「こんなところですか」といって見せてくれたのは、

    日本でいうアメ横みたいなところで、ものすごくにぎわっていた。

    「うわ〜すごい。こういうところよ、行ってみたいのは」

    と私も興奮した。

    「あなたに会うなら、病気になって病院へいくことね」

    というと、「いや、外国人が病院へいくと、とっても高いです。

    中国人なら安いけど」と。

     

    そんな話をしているとき、ちょうどテレビで、天皇陛下の

    若いころからの公務の様子を放映していた。

    彼は、それを見て「天皇陛下について、どう思いますか?」

    と聞いてきた。

    「う〜ん、日本人なら大体同じ思いがあるのじゃないかな、

    ある親しみのような気持ちを感じるというか…。

    あの人たちは、私たち国民に直接利害のあることはしないから」と、

    難しい答えをした。

    「それなら、安倍首相は?」と切り込んでくる。

    「そうね、首相の考えや行動は、私たちの生活を左右するから、

    もっと敏感に監視する必要があるんだけど…」と

    これまた答えを出すのに、ちょっと考えなければならなかった。

     

    すると、彼は「香港では、職場でも上の人のことを話す

    のに、制限があるんです」といって顔を曇らせ、

    言いたいことがいえない不自由さを、言葉少なに表現した。

    ここ、異国の日本でさえ、そういうことは大きな声では言えない、

    国に密告されたら困る、みたいな。

    「え〜っ、そんなことがあるの」と驚く。

    中国では、日本では信じられないくらいの言論統制が

    あるようだ。

    とくにこの人は国立病院で働いているから、

    国の政策には忠実である風を装わなければならないのだろう。

     

    私はまた「北朝鮮なんかはどう思うの、金正恩とか」と気軽に聞いてみた。

    「ほんとにひどいよね」ぐらい言うかと思ったら、

    「う〜ん」といったっきり、気まずそうにして、なんとも答えない。

    その様子に、私はようやく事の重大さに気づいた。

    そうか、日本みたいに、誰に聞かれてもたいして気にしないで、

    政治家の悪口を言える国は、世界でも

    そんなに多くはないのかもしれないな、と。

    「香港の人は、こんな様子をホントは窮屈だと思っています。

    だから、できるものなら、ほかの国に行きたいと…」と彼。

    「え〜っ、どこの国に行きたいの? 前に統治していたイギリス?」

    「それは遠い」

    「じやぁシンガポール?」

    「いや、あそこに行っても、何を考えているか、

    上のほうにわかってしまう可能性がある」

    「それじゃあ、日本?」

    「そう…」と彼は、小さく答えた。

     

    そうか、それで中国人が日本の自由さを求めて

    日本語を熱心に勉強してるんだ。

    この北国の片隅の小さな喫茶室で、中国の人々の、

    心の奥に秘めた本音を垣間見た気がした。

     

    また、北京から来たという若い中国人女性の2人連れは、

    2泊し、気さくに話した。

    大学で日本語を学んだという一人は、かなり話ができる。

    もう一人は、日本語をもっと話せるようになるため、

    もう3か月も東京に滞在しているという。

    リッチなんだなぁ。

    北京は空気が汚いので、北海道はいいなぁと思う、という。

     

    そこへ、また中国人の女性が、雪の中を大きなスーツケースを

    引いてやってきた。

    「どこから来たんですか?」というと

    「いま、九州大学に留学しているんです。

    私は南京の出身ですが、国に帰るにはお金が足りないので、

    北海道に旅行に来ました」と彼女。

    そこにいた2人と、中国語で、話していたが、

    「何を勉強しているの?」と聞くと

    「土木です」と。

     

    いやはや、この小さな日本に、大国の人々が押しかけてきて

    この先、どうなるんだろう。

    それにしても、日本はアジアではこうも魅力のある国なのだと

    改めて思わされた年の暮れだった。

     

    北運河の新年

    「あ〜ぁ、またこんなに降っちゃった」

    「これじゃぁ運河も見えないよ」

    「あれっ、なんかいるな」

    「おまえかぁ」

     

     

     

     

    | - | 20:57 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
    店主さま
    明けましておめでとうございます。今年も「かもめや」に集う人たちの話と、北海道小樽の季節の移ろいを届けて下さいませ。毎回楽しく拝読しております。

    今回のネタは面白かったです。
    香港の中国化がじわじわと確実に進んでいるんだなあと考えさせられました。日本だって今でこそモノを言うのは自由ですが、戦前は今の中国と変わりなかったし、これからどうなっていくかはわかりませんね。
    中国人の若者は状況を客観的に見てるようでちょっと安心できますが、韓国人はどうなのか気になりますね。韓国の若者が泊まりに来たらどんな考えなのか聞いてみて下さい。
    | koishi3 | 2019/01/06 1:27 PM |

    こんにちは。
    最近小樽に興味を持ち出し、本を探していた中に、「ポーが聞こえる」がありました。
    毎日少しずつ読んでいますが、あの本は未だにここで「更新中」なのですね。

    楽しみが増えたような気がします。
    | くじら山こうじ | 2019/01/09 9:05 AM |

    日本は立派な国とは言えませんが、観光客にとっては魅力的な場所(街並み、寺社仏閣、風景、行事、食べ物、美術工芸品など)は沢山あります。凍てついて、転んでしまいそうな冬の小樽の坂道もなかなかいいものです。
    | 蛍 | 2019/01/12 8:10 PM |










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