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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
<< 前世への旅・その2 | main |
晩秋の街角
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     このところ雨が続き、犬の散歩もままならない。

    やっと晴れたかと思ったら、急にざ〜っと斜めに雨が降り、

    地面をたたきつける。

    この急激な変化が、秋の空の特徴だ。

     

    ついこの間、今年も町の古い建物にからまるツタが紅葉し始めたなぁ

    と思ったら、あっという間に紅色が深くなり、

    風が吹くたびに美しい赤い葉を落としている。

    毎年、この季節に、駆け足で街を歩いて、

    このツタを写真に撮っているのだが、

    今年はすっかり出遅れてしまった。

    それでも、まだ少しは残っているかなと思い、雨の晴れ間を待って、

    犬を連れ、石造りの建物が多い、北のウォール街と呼ばれる

    銀行街へ歩いて行った。

     

    紅葉の盛りは過ぎたが、あるある、まだ赤いツタは

    さらに色を深くして建物にからみついていた。

    いつも言っていることだが、こんなにツタの美しい町は

    日本のどこかにあるだろうか。

    これを見るだけで、小樽に来る価値はあると思っているのだが、

    小樽の人は、これを特別に美しいともなんとも思わないようだ。

    いまだかつて、小樽の住人から、ツタがきれいだという言葉は

    聞いたことがない。

    植物は、寒暖の差が大きいと赤くなるようだが、

    気候からいっても、この町は紅葉の条件を満たしているのかもしれない。

     

    いつも歩いている通りを歩くだけで、こんなに美しい景色を

    味わうことができる。

    犬のマルコがものすごい力で引っ張るので、

    自然と目が下に向いて、石畳の道のほうを見てしまうのが残念だ。

     

    最近ニトリが昔の銀行を美術館にして芸術村と名付けた

    銀行街のあたりを歩いて、運河の方向に出ると、

    シックな小ぶりの石造りの建物に出会う。

    赤いアーチのテントが窓に小屋根を作っていて、

    建物のグレーと赤のコントラストが美しい。

    ここは、昔、石原裕次郎のお父さんが支店長を務めた

    山下汽船の建物だ。

    今は中華料理のレストランになっているが、この店も閉店したのか、

    営業している様子が見えない。

    私は、この建物が好きで、いつもしみじみ眺めている。

    運河を目の前にして、このあたりから

    裏の旧三井銀行のほうへ抜けてみる。

    この細道は、石造りの建物に挟まれ、

    さながらパリのモンマルトルのようだ。

    雨に濡れた赤い木の葉が舞い散る石畳。

    シャンソンの「枯れ葉」が似合う場所。

    気障でもなんでもない、ほんとうに素敵な小樽の一角だ。

     

    この夏の忙しい時期に、芥川龍之介にとりつかれ、

    彼の作品をすべて知るべく、日夜全集を読みふけっている。

    彼のものすごい読書量と執筆。

    35歳で亡くなるまでに、人の何倍もの、いや、何人分もの仕事をした。

    天才という言葉はむやみに使いたくないが、彼の場合には

    この言葉を具現していると思う。

    天才は幸せか?

    こんな素朴な疑問が浮かぶが、「否!」

    彼には、生き急ぐという印象が強いが、その心は、

    あまり幸せではなさそうだ。

    天才にとって幸せとは?

    その人が、自らのライフワークの中で、精いっぱい力を尽くしている

    その時が、彼の幸せといえるのではないかと思えた。

     

    凡人にとって、いや、自分にたとえてみても、困難の中で、

    力を尽くして精いっぱい生きようとしている、そのこと、そのときが

    幸せといえるのかも…

    そんな思いにふけりながら、紅葉の街を歩いた。

     

    それにしても、芥川の街の風景描写は、ほんとうに美しい。

    彼は、「往来」という言葉をよく使う。

    道路のことだ。

    朝、昼、夜の往来に差し込む日の光、陰。それだけをとっても、

    どんな素晴らしい映像もかなわない、深く華麗な美しさがある。

     

    帯状に赤く見えるのがツタ

    石倉が歯科医院になっている

     

     

    この川にサケがのぼる、妙見川

     

     

    裕次郎のお父さんが支店長をしていた汽船会社

    モンマルトルみたいな細道

    旧三井銀行。今はニトリの美術館になっている

     

     

    | - | 07:37 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
    小樽から帰って、たった2週間ですがその間に季節は進んだようですね。
    街のツタは、すっかり色付いたようです。

    このブログも、宿もお騒がせして申し訳ありませんでした。
    こちらも、すっかり寒くなりあの夏の狂った暑さは何だったんだ?と振り返る日々です。

    今度は、雪の季節にお邪魔します。
    また、何か起こるのかしら?
    | John 1940 | 2018/11/02 9:57 AM |

    霊山巡礼を無事に終え、憑き物が下りたみたいでまた軽やかで優しい目線の文章が戻って来ましたね。
    文章にもある通り、私が小樽に住んでいた時にはあまり蔦の紅葉の美しさに注目した記憶は残っていませんね。住んでいた相生町、富岡町に石造りの建物が少なかったせいなのかな。改めて見てみると”時間という価値”を抱えこんだ美しさに迫力を感じますね。この美しさを残すとなると、建物ごと残さなければいけないので大変ですね。Facebookで見ている方、ぜひリンクを開いて”小樽の蔦の紅葉”を堪能してくださいませ。
    ところでニトリの美術館には何が展示されているのでしょうか?本業に集中した方が良くね?
    | koishi3 | 2018/11/02 11:38 AM |

    HPのトップ画面が変わりましたよね。
    蔦のからまる写真は去年の方がきれいですね。来年に期待します。
    | 蛍 | 2018/11/04 9:53 PM |










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