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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
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夢で逢いましょう
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     あっという間に9月も上旬をすぎてしまった。

    この夏もまた例年のように忙しく、 体がついていくのがやっと。

    懐かしい顔ぶれのお客さんも見えて わが宿ながら、

    10年の仕事の歴史を感じる。

    小さな下宿のような店ながら、 いいお客さんに恵まれているのが自慢だ。

    下宿人なら、中には困った人もいるだろうが、

    うちの宿は、お客さんが宿を盛り立ててくれる。 年のせいもあって、

    体はボロボロになっているが、 全国から来てくれるあの人、この人で、

    かけがえのない財産ができた。

     

     疲れて動けないとき、ちょっとの時間をみつけて

    水族館のある祝津に、海を見に行った。

    子供のころからよく海水浴に行った場所だが、

    久しぶりに高台に上って海を見渡すと、

    その眺めは、ほんとうに雄大ですばらしい。 人間は100年生きたら

    さすがに朽ち果てるが、 自然は頑としてほとんど変化しない。

    人間の小ささと、自然のスケールの大きさを 改めて感じる。

     

    この夏、たくさんのお客さんが来た中で、 おもしろいエピソードを

    残していった人がいる。

    年輩の男性が一人で四畳半の和室に泊まった。

    ほかのお客さんは、みんな帰ってしまったが、

    なかなか部屋から出てこない。 やっとのことで現れたと思ったら、

    「いや〜、いい夢見たよ。この部屋はいいねぇ」とニコニコしているのだ。

    「高校時代の初恋の人が夢に出てきたんだよ、それもはっきりと」

    「えっ、その人はいくつぐらいで?」と私。

    「いや、高校生じゃないんだけどね。30ぐらいかなぁ」

    「その後、会ったことはあるんですか?」

    「うん、去年クラス会で卒業以来初めて再会したんだ。

    夢がとってもリアルだったから、うれしくて。 そうだ、東京へ帰ったら、

    彼女の住所を調べて、さっそく手紙を出そうと思ってね。

    いま、ここでその手紙を書いていたんだよ」

    「それはよかった。この部屋は夢で初恋の人に逢える部屋、

    っていうの、いいですね」

    すると息子が「≪夢で逢いましょう≫ですね」 なんて、たまには粋なことを言う。

    そんな昔のテレビ番組があったことを、彼は知らないはずなんだが…

    「この宿は郷愁を感じるね」とお客さん。

    そして、帰り間際に

    「早く手紙を出そうっと。俺たちにはもう時間がない」

    その人は70歳だといった。

    話を聞いて、私もうれしくなった。

    そう、かもめやは、「夢で初恋の人に逢える宿」なんだ。

     

    つい最近、わが宿で、念願のたかりんさんとの再会を果たした。

    その話は次回に。

    おっと、またデータが消えちゃうといけねぇ。

     

    いつ見ても美しい

    昔はここで泳いでいた

    向こうに見えるはトド岩。小樽の人ならだれでも知ってる

    日和山灯台と右の赤い屋根はにしん御殿。山の下は水族館の仕切り

    | - | 07:31 | comments(7) | trackbacks(0) | - | - |
    いつもながら、ネタの拾い方がうまいですね。
    四畳半の和室に泊まると初恋の人の夢を見られるなんてロマンチックなキャッチコピーが評判になって初恋の人に会いたい先が短い老人が押しかけますよ。私もそこで夢を見てみたい!
    私にとっても祝津、オタモイ、赤岩あたりの海岸は水族館とセットのロケーションでした。
    街から近いのに結構秘境みたいな眺めですよね。
    落研以外の読者へのネタばらし。締めの「おっと、またデータが消えちゃうといけねえ。」というのは、大好きな酒を断って必死に働いた3年後の大晦日に女房から酒を出された時の台詞「やっぱりよそう、また夢になるといけねえ」という落語「芝浜」のオチのもじりです。オミゴト!
    店主様の文章は最後の一文でオチを付けているのが心地よい余韻を残していると感じています。
    | koishi3 | 2017/09/10 9:31 PM |

    昨年、今頃わたしが泊まったのは、四畳半でしたかどうか?
    でも、確かに夢をみたのだけれども〜〜〜?
    もう一度泊まりに行かなくちゃ。
    | Wako | 2017/09/10 10:14 PM |

    お部屋にツルゲーネフの「初恋」と永井荷風の「四畳半襖の下張」の文庫本を置きましょう。読み始めて、朝まで眠れなかったりして。

    落語「死神」のオチに「消えるよ、、、消えるよ、、、消えたぁ」がありましたねぇ。
    | 蛍 | 2017/09/11 7:50 AM |

    念願叶ったおいらはあえて書かねえ・・・心の手帳に取っておきます。
    | takarinn | 2017/09/11 8:06 AM |

    毎回、その4畳半の部屋に泊まっていますがそんな夢を見たことはありませんねぇ〜。
    この前は、うなされていたらしいしね。
    何が違うのだろう?

    そういえば、三島由紀夫の「午後の曳航」を読んでました。
    あ、腹切りした作家だからうなされたのか?納得しましたよ。次回は、持って行く本を選びますよ。
    | John 1940 | 2017/09/13 2:08 AM |

    ブログを書いて、またあたふたしているうちに、みなさんのコメントがいっぱいでびっくり。わが宿の部屋づくりには、私の思い入れがあるんです。四畳半の部屋は、昔の学生の下宿と、吉行淳之介の小説に出てくるような昔の職業女性?がひっそりと棲んでいるしもた屋、そんなイメージです。wakoさんが泊まったのは8畳の和室だったと思います。そこなら、初恋の人と、2番目の人の夢が見られます。それにしても、Johnさんは、いつも四畳半に泊まっているんですが、廊下にまで聞こえるような声でうなされているんですよ。これは、日ごろの心がけでしょうか…
    | 店主 | 2017/09/13 7:01 AM |

    やっぱり、蛍さんの言ってた本が、あの部屋には正解なんだ!

    しかし、おかみさん「日頃の心がけ」って?それを自分で言おうと思ってましたが、おかみさんが言っちゃあおしめえよ!
    寅さんか?
    | John 1940 | 2017/09/13 10:59 AM |










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