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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
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古道具、断捨離
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     町なかは雪が解け、アスファルトの舗道が多くなってきた。

    しかし、坂の上の自宅や、かもめやの前には、まだまだ雪山がある。

    店の前の雪山は、さすがに低くなっているが、

    舗道から舞い上がる土ぼこりをかぶって、黒ゴマをまぶしたように見える。

    この雪山が完全に解けるまで、まだまだ時間がかかる。

    北海道の春の前の、殺風景な季節だ。

     

    冬から春に向かう季節に、自宅の引っ越しを企てている。

    坂の上から、駅の近くの実家に移ろうというのである。

    子どもの頃育った家、両親が住んでいた懐かしい場所。

    4年ほど前に父も母も亡くなり、この家が空いていた。

    いつかはどうにかしなければ、と思っていたが、

    私自身も、自分が育った場所に戻りたいと思っていた。

    まるで、鮭が故郷の川に帰るようなものである。

    そこへ移ろうと決心してから、自宅の荷物を片付け始めた。

    「断捨離」。言葉はよく知っているけど、

    実にしんどい作業だ。

    人生、長くやっていると、いつの間にか物がふえている。

    これを、ひとつひとつ、いる、いらない、に分けるというのは

    気の遠くなるような仕事だ。

    毎日、ため息をつきながら、のろのろと片づけを進め、

    少しずつ実家に運んでいた。

     

    この間、古道具屋に何回か足を運び、

    家財道具を引き取ってもらえるか、交渉もした。

    まだ使えるからといって、なんでも引き受けてくれるものではなく、

    ほとんどがダメだ。

    それでも、少しは引き取ってもらって、古道具屋をのぞくことになる。

     

    実は、私は古道具が大好きだ。

    かもめやにも、明治、大正時代の家具がいくつかあるが、

    わが家には、100年以上たっている鏡台とか茶箪笥がある。

    親戚のおばあさんからゆずり受けた鏡台の引き出しをあけてみると、

    昔の東京の新聞が入っていて、明治か大正時代の「貸し間あります」とかいう

    不動産広告を見つけた。これがおもしろくてたまらず、

    夜も寝ないで読みあさったことがある。

     

    そんなこんなで、古道具屋の湿っぽい店の奥をのぞくのは、

    なんともいえずワクワクする。

     

    かもめやの近くにも、洋風、和風の古道具屋が2軒ある。

    1軒は、年代物のタイル張りの建物で、なかなかいい味を出している。

    先日、小林多喜二の母を題材にした「母」という映画を見た。

    多喜二は小樽の出身だが、この映画の中に古道具屋が出てくる。

    看板が映った時、「あれっ、どこかで見たことがある」

    と思った。そう、このタイル張りの店の看板だった。

    本州の骨董屋には遠く及ばないが、北海道の中では、

    小樽は歴史があるほうで、古い道具類が眠っている町だ。

    骨董品を眺め、これが使われた時代を想像するのは

    なんとも懐かしく、魂が癒される。

     

    実家に少しずつ荷物を運びながら、心が疲れるのを感じた。

    それは、ここには父も母ももういないし、兄弟もいない。

    あの、貧しくもにぎやかだった子供時代の家の様子が

    ついきのうのことのように思い出され、

    言葉にならない哀しみのようなものがわき上がってくる。

     

    家に荷物を持って出入りしていると、

    隣の老夫婦が家の前に出てきた。

    あんなに元気でたくましかったご主人が、

    今は、杖をついて、やっとのことで歩いている。

     

    ふと思いついたことだが、「浦島太郎」の物語は、

    昔の人のこんな経験から生まれたのではないだろうか。

    竜宮城に行っていた間というのは、人々が若かりし頃、

    はつらつとして活動していたときのことであり…。

    人は、はっと気づくと、いつの間にか白髪のおじいさんになっていた、

    そういうことだ。

    誰にも覚えのある話だ。

     

    今、私は浜辺で玉手箱を開けて、茫然としているところである。

     

     

    タイル張りのクラシックな建物の古道具屋。歴史的建造物にも

    なっている。多喜二の映画にも出た

    タイル張りの店の向かいにある、こちらは洋風アンティークの店

    2軒の古道具屋近くにある石造りの倉庫

     

     

    | - | 16:37 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
    お引っ越し、ですね。
    育った懐かしいお家に戻れるなんて、うらやましいです。
    でも、悲しい気持ちも解ります。
    古いものへの愛着 vs.「断捨離」、難しいですね。
    どうか疲れすぎないよう、ゆっくり作業してください。
    | Wako | 2017/03/20 7:39 PM |










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