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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
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故人に食べさせたい、とうきび
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    お盆になり、涼しい北海道も暑さのピークを迎えた。

    といっても、本州のそれとは大違い。

    せいぜい1日のうち何時間か、扇風機を回すくらいである。

    朝方、いつのまにか掛け布団をかぶって寝ている。

     

    わが宿も、毎日宿泊客がぎっしり。

    家族連れのお客さんは、炎天下、車や徒歩であちこちでかけ、

    元気でもどってくる。

    「若い人は元気でいいなぁ」と、ついつい独り言を言ってしまう。

     

    北海道も、ようやく地元の作物が収穫期を迎えた。

    近くで取れたナスやインゲン、トマトがスーパーに並ぶと、

    ほんとうにうれしくなる。

    このところ、そろそろとうもろこしが出始めた。

    こちらでは、「とうきび」と呼ぶ。

    淡いグリーンの皮に包まれたとうきびの山をみると、

    どうしても買いたくなってしまい、売り場の台の前で

    皮をむき始める。

    北海道では、買った人が、その場で皮をむいて

    実だけになったとうきびをレジにもっていってもいいことになっている。

    とれたてのとうきびを、家に帰ってすぐにお湯を沸かし、ゆでる。

    とれたてのものは、格段に味が違うからだ。

     

    2,3日前も、お店で「北海道産」と書いたとうきびを見るやいなや

    すぐに買って、家でゆでた。

    アツアツを食べてみると、まだ少し若い。

    つまり、実が大きくなっていない、子どもの歯、

    乳歯みたいなのである。

    まだ早いんだなぁ、と思いながら、

    亡き人たちの写真の前に置いた。

    父、母、夫、その両親、私をかわいがってくれた叔父、叔母、

    祖父、生まれたときからすでにこの世にはいなかった

    母方の祖父母、父方の祖母…

    もう150年もまえからこの人たちはとうきびを

    食べていたはずだ。

    いまのように、スナック菓子やおやつもあまりないときも、

    とうきびは、この人たちにとって、おやつのような、主食のような

    おいしくうれしい食べ物だったはずだ。

     

    私がまだ5歳ぐらいのときだったか、北海道の北のはずれ

    稚内に近い美深という町に、母の姉がいて、そこに1年近く預けられて

    いたことがある。

    体の弱い叔父によく仕え、夜も寝ないで針仕事をしていた働き者の叔母は、

    家の前に広い畑を作って、野菜やトマトや花をたくさん作っていた。

    今も、真赤に熟れたトマトの木や、ダリヤの花々の美しい色が目に浮かぶ。

    そこからしばらく離れた場所にとうきびも作っていて、

    子どもの足でも相当遠くまで歩いて、とうきびをとりに行ったことが

    ある。

    この地では、たくさんとれたとうきびは、軒下につるして乾かし、

    冬に、その実をゆでるのである。

    小樽の家では食べたことがなかったその味が、

    意外においしいことを知った。

     

    とうきびを食べたときの思い出は、必ずだれかしら亡き人が一緒なのである。

    どの人も、今はこの世にはいない。

    親しい人たちの、元気な働き盛りの姿が目に浮かぶ。

    しんしんと寂しさがこみあげてくる。

     

    お盆は、この人たちが、この世に帰ってくるんだそうだ。

    ほんとうに、なつかしい一人ひとりに会いたい。

    一緒にとうきびを食べた、あの日に戻りたい。

     

    人生は往く道だけなんだなぁ。帰りの道はないんだと

    しみじみ思う。

    亡き人が喜ぶことは、その人のことを思い出して、

    その人の話をすることなんだそう。

    ああ、でもね、悪口はだめよ。

     

    啄木の歌に、こんなのがあった。

     

     しんとして 幅広き街の 秋の夜の

      玉蜀黍(とうもろこし)の焼くるにほいよ

     

    そうか、とうもろこしは秋なのか。

     

     

     

     

    | - | 12:30 | comments(5) | trackbacks(0) | - | - |
    とうきびは、母の味です。
    我が家でも、畑を作っていたのは母でした。
    そしてダリアを始めとする花たちも。
    忘れられません。
    | Wako | 2016/08/13 9:52 PM |

    印象厚い かもめや日記に 投降!!?します
    北の里の畑と庭のおもいで
    6月から7月に上り藤(ルピナス)そしてダリア、グラジオラス

    女将さん、お元気でなにより
    とうもろこし(ハニーバンタムじゃなくて)ところどころ紫の粒がまじった固めの実、そして さとうきび かわりに表皮を歯でむしり茎をしごいて甘い汁をそそる・・・寒冷な北海道の楽しみ

    かっては,青函連絡船から北の米は食えないと、レストランなどは 上質の内地のヤミ米の入手に苦労したのがウソみたい。

    でも今年は天候不順で生鮮生産農家は出荷するものがなく辛い
    年になりそう
    | ヨーイトマケ | 2016/08/13 11:35 PM |

    50年以上前のとうもろこしは今ではほとんど食べる機会はないのではないでしょうか。「トウモロコシノセカイ」によると、http://www.toumorokoshi.net/kind.html
    スイートコーンだけでも19種類ほどあります。
    さて、女将のお好みはどのコーンですか?
    亡き人に食べさせたいとうきびはどれですか?
    | 蛍 | 2016/08/14 4:27 PM |

    近年、この辺で食べられているのは、ハニーバンタムじゃないかと思います。その名前しか知りません。
    子どもの頃、田舎で食べたのは、馬キビともいっていました。
    あまり甘くなくて、実は固い。馬にも食べさせていたのかも。
    それに、よいとまけさんのいうところどころ紫色の粒がまじったものもありましたね。今のもののほうが、柔らかくて甘い。
    とうきびに限らず、なんでも柔らかくて甘くなってきたなぁ。
    そう、人間も? 頑固者の私は、「人間馬キビ」かもしれない。
    甘くないからね。
    | 店主 | 2016/08/18 10:53 AM |

    「馬キビ」とはデントコーンのことのようです。
    https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000210.html
    によれば「デントコーンは馬歯種コーンとも呼ばれ、穀粒の側面が固い澱粉層からなり、冠部は柔らかい澱粉層からなる。粒が成熟するにつれて柔らかい部分が収縮して冠部にくぼみ(デント)ができ、馬歯のようになる。デントコーンは主に澱粉(コーンスターチ)製造用、飼料用、さらに近年バイオエタノール生産原料として利用されている。」とのことです。
    女将は「人間馬キビ」というよりは「馬歯人」かもしれません。
    | 蛍 | 2016/08/18 12:29 PM |










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