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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
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命知らずのお客
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    「こんにちわ〜 元気ですか? また来ました」

    年輩の男性が2人連れで、満面の笑顔で現れた。

    「ああ、そういえば…」去年も本州から来た人だ。

    車の屋根には、長い長〜いカヌーが積んである。

    それだけでも危なっかしいのだが…。

    退職してから数年、2人で北海道を旅して、テントを張って

    野宿したりしながら、湖でカヌーに乗っているという。

    今回は、知床方面を回って、小樽からフェリーで帰るそうだ。

     

     出発の朝、コーヒーを飲みながら、今度の旅の話を始める。

    2人のうち、威勢のいい男性が一気に語った。

    「このたびは危なかった。クマに遭ったんですよ。

    車で山道を走っていたら、クマが近くまで来てね。

    ヒヤ〜どうなるかと思って固まっちゃった。それで、クラクション

    鳴らしたら、あっちへ行ったのよ」

    「もう1回はね、知床の海岸でおにぎり食べてたら、

    海の方から漁師が船でこっちへ向かって来て、

    ”お〜い、お前たちの後ろにクマがいるぞ〜”っていうんだ。

    後ろ向いたら、50m先ぐらいにクマが歩いてるの。

    びっくりして、動かないでじ〜っとしていたら、

    向こうへ歩いて行ったんだよ。こわかったなぁ」

    ん、まぁ〜なんて危ないこと。

    「それよりも、もっと大変だったのは、屈斜路湖で

    カヌーに乗ろうと思ったんだ。でも、風が強いなぁ、どうしようかな、

    まぁ、大丈夫だろうとタカをくくって2人で漕ぎ出したの。

    そうすると、ますます風が強くなって、

    いくら漕いでも、沖の方に流されるばっかりなのさ。

    今度という今度は、もうだめかと思った。でも、

    不思議だね、何とか戻れた、ホント命からがら…」

     

    「もう~ ったく、あきれますね、どうしてそんな危ないこと

    ばっかりするんですか」と私。

    お客をお客とも思わないコメントが口から出た。

    すると、今まで黙して下を向いていたもう一人の男性が

    おもむろに顔を上げ、わが意を得たりとばかり

    こういった。

    「〜でしょう? みんなにそう言われるんですよ」と。

    「よくこんな人と、危ない旅をしますね」と私。

    うんうんと、黙ってうなずく彼。

     

    そういえば2人は、昔会社で、上司と部下の関係だったと聞いたような…。

    威勢のいい上司の彼は、

    「そうはいっても、この人…」と相方の方を見て、

    「ぼくに、”次はどこ行きましょうか?” なんていうんだよ」

     

    そして、上司の彼が

    「実はぼく、ホントに運がいいんですよ。だってね、地下鉄サリン事件のとき、

    サリンをまかれた後ろの電車に乗ってたのよ。それで助かったの。

    それに、ニューヨークの貿易センタービルに飛行機が突っ込んだテロが

    あったでしょ。あのときも、うちの会社があのビルにあったんだけど、

    ちょうどそのとき行くはずだったんだ。でも、飛行機が遅れて着いたんで、

    テロに遭わずに済んだんですよ」

    「え〜っ、そ、それは、なんというのか、運がいいのね〜」と私。

    「まだまだあるの」と彼は続ける。

    「アルジェリアに出張で行って、帰国したら、次の日、現地が

    地震になったんだよ」

     

    確かに…。これだけ聞くと、この人はただモノではない。

    そういえば、彼は以前に来たとき、私もその名を聞いたことがある会社の

    重役だった、といっていたような…。

    社命を全うするため、何か大いなるものに守られているのかもしれない…。

     

    「まぁ、危ないことを経験されてるけど、健康に恵まれていいですね」

    と私がいうと、「いや、これでもぼくは4年前にがんが見つかって

    ステージ犬世辰燭痢いよいよだめかな、と思ったんだけど、

    抗がん剤の中にも先進医療のもがあるっていうの。それが効きそうだというんで、

    それにしようと思ったんだけど、何百万もかかるっていうんだよね。

    それで、自分が入っている保険を全部調べてみたら、保険屋さんが、

    その中に、先進医療に使えるものがありましたよって、教えてくれたんだ。

    それで、費用の心配もいらなくなったの」

    そうして、今も治療を続けているという。

    どこまでもラッキーなこの人。

     

    で、このアブナイ旅はいったい…?

    この人は、命が惜しいのか、惜しくないのか。

    人間の究極の心理はワカラナイ。

    とにかく、2人は危うい旅を終えて帰っていった。

     

    数十分後、2人が泊まった部屋に、上着の忘れ物

    を見つけた。

    まだ、間に合うかな、と電話をしてみると、

    威勢のいい彼が出て、「いま、フェリーに乗り込みました。

    忘れ物は、相方のものです。彼は今、車に乗っています。

    ああ、それいらないよ、捨てちゃってください」と、

    こともなげに言った。

    それから間もなく、また彼から電話がかかってきた。

    「あのう、さっきの上着、相方が、また来年来るから、

    取っておいてくださいって」

     

    この2人、ドン・キホーテとサンチョパンサとも違うよなぁ。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    | - | 10:28 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
    長いカヌ―を車に載せた写真を期待したんですが、プライバシ―のせいか写真は無いようですね。

    アウトドア派の人たちが、一番羨ましいのは何処でも寝られることです。

    自分の部屋でも眠れない私としては、テントで寝るなんて考えられませんからねぇ〜。

    この頃、やっと旅先でも少しは眠れるようになりましたけれど。
    | John 1940 | 2016/07/18 2:20 PM |










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