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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
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かもめやは交番か?
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     町の古い建物や、石造りの倉庫にからまるツタが紅葉し、

    道を歩くたびに、その美しい光景にハッとさせられることがあった。

    小樽の秋の一時期のことだ。

    「金銀さんご綾錦(あやにしき)」

    宝物のことをこんなふうに言った昔の言葉だ。

    ひんやりした空気の中に、あやにしきがひっそりと

    美しい姿を見せる。

    町の人は意外にこの美しさに気付いていないようだ。

    「この季節になると、こんなものはどこでも見られるよ」

    そんな気持ちかもしれない。

    しかし、その美しさは言いようもなく深い。

    その色は刻々と変化し、数日後には黄色から茶色に。

    そして、あっという間に葉を落としてしまう。

    ふと、この光景は、人の一生を超速フイルムで見るようだと思うことがある。

    今は、その最後の時期だ。


     空き地の雑草が、日一日と枯れていく様子をぼんやりとながめていると、

    店の戸があいて、いろんな人が顔をのぞかせる。

    知っている人も、知らない人も…

    喫茶店は当分休みにしているが、店をやっていると

    人は、個人の家よりも入ってきやすいのかもしれない。

    「まるで交番みたいだ」と一人で思っていると、

    「こんにちわ〜」と、ピカピカの笑顔の若い男性がやってきた。

    「あっ、ほんとのおまわりさんだ!」


     彼は、わが宿ののれんに書いてある「北大落語研究会より」の文字に

    ゆかりのある人物で、大学卒業後、警察官になった人だ。

    落語研究会のメンバーで、四国は讃岐の出身。

    高座名は「手打家うどん」。

    柔道でもやっていそうながっちりとした体型で、笑顔がとってもあったかい。

    まるで出来立てのうどん、といった感じだ。

    就職したてのころ、制服の警察官100人の前で、落語をやったという。

    刑務所の慰問は先輩たちがやっているが、警察官に聞かせるというのは、

    この人ぐらいだろう。


     彼は数年前、外国人担当の職務になり、トルコに赴任することになった。

    行く前にはわが宿に寄り、「いってきま〜す」といっていた。

    その彼がやってきたのである。

    「あら〜、いつ帰ってきたの?」

    「この4月です」

    「あなた、大丈夫だった? イスラム過激派ISの人質事件なんかもあって、

    うどん君大丈夫かな、と、みんなで心配してたのよ」というと

    「いや、トルコは平和でしたよ。危ないことはなかった。

    楽しかったです」

    思いがけないコメントに驚いたが、この人の前には、なぜか危ないことが

    起こらないような気がする。

    「どう? 帰国して、一段と仕事が充実したんじゃないの?」

    というと、

    「いやぁ、警察官は、規則、規則で苦しいです。

    自由人の僕には似合わないかも…」

    これまた意外な答えだ。

    いや、彼のキャラクターこそ、警察官に必要なのでは。

    固く口を閉ざして語らない犯罪者も、彼の前では、ほっと気がゆるんで

    つい本音を言ったり、笑ったりして、ついには白状するかもしれない。


    「いいなぁ、民宿は。ぼくもやってみたいな」

    「な〜にを言ってるの、公務員がいいでしょう。これからが

    あなたの力を発揮するときでしょ。がんばって」

    と、励ましたが、人は隣の芝生がよく見えるものかもしれないな。

    いや、隣の牢屋がよく見える、というのか…。









    | - | 08:30 | comments(6) | trackbacks(0) | - | - |
    お久しぶりでーす。

    季節は晩秋から初冬の佇まいに・・・
    色んなキャラクターの人々が訪れる「かもめや」さんにお巡りさんが!
    すわっ捕り物か!

    読むとほのぼのとした、お巡りさんでほっとしました。「かもめや」さんは人が集まる不思議な空間なんですね。
    | takarinn | 2015/11/04 12:24 PM |

    制服警官に受ける落語って何ですかね?
    泥棒ネタなら沢山あるんですけどね。
    東京では恒例の苦楽亭迷人会が先週末に終わったところです。
    昨年に続いての満員御礼でお運びくださいました皆様に感謝です。
    今年は急な欠演があったので開口一番とトリの火事息子で2度上がったので結構疲れました。過去の東京苦楽亭のビデオはYouTubeにアップされてます。
    何処の検索サイトでも「東京苦楽亭」で検索できます。
    先週のは今週末にアップする予定です。
    | 恋志3 | 2015/11/04 7:55 PM |

    「かもめやは交番か?」のブログをアップした次の日、本物の警察官が店に来て、「このポスターを置かせてもらえますか」といった。おっと、うどんくんだって本物の警察官だけどね。「いいですよ」、と言って、見たら「重要指名手配」と書かれた赤い紙に、強盗殺人や殺人放火、爆発物取締罰則違反の犯人の顔写真がずらりと並んでいた。
    「キャーこわい! こんなもの店に貼れないわよね」といったときには、もう警察の人はいなかった。
    すると、今日、また細身の若手人気演歌歌手みたいなかっこいい人が入ってきた。「警察ですけど…」「えっ、またぁ?」
    私がブログのことを話すと、「いや、それは見ていないです」と彼。
    「う〜む、いったいこの現象はなんだ?」
    彼は、不審な外国人がいたら、通報してほしいということだった。
    いや、それにしても、毎日警察の人が出入りするなんて、
    やっぱりかもめやは交番みたいだ。
    「言霊(ことだま)」は関係人物を呼び寄せる力があるのかもしれない。
    | 店主 | 2015/11/05 4:00 PM |

    それだけ不審な人物が出入りしてるっていうことですよ!
    あはは・・・?
    | 隠居 | 2015/11/05 8:29 PM |

    3人のお巡りさん、それぞれ皆ご熱心ですね。
    北海道には悪い人はいないはずだけど。
    交番の役割も果たすなんて、かもめや、万歳!?
    | Wako | 2015/11/05 8:47 PM |

    小林多喜二の時代を思い浮かべてしまった。
    ネットで検索すると、
    旭展望台には多喜二の文学碑があるという。

    冬が近くなると
    ぼくはそのなつかしい国のことを考えて
    深い感動に捉えられている
    そこには運河と倉庫と税関と桟橋がある
    そこでは人は重っ苦しい空の下を
    どれも背をまげて歩いている
    ぼくは何処を歩いていようがどの人をも知っている
    赤い断層を処々に見せている
    階段のように山にせり上がっている街を
    ぼくはどんなに愛しているか分からない
    | 蛍 | 2015/11/09 8:42 PM |










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