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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
友人来宿
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    9月のある日、学生時代の友人、たかりんさんが、わが宿を訪れた。

    2日前に札幌でクラス会があり、名古屋からかけつけた. その帰りに、

    1人でかもめやに行く、といって来てくれた。

    去年、彼女の友人,wakoさんが、「かもめやに1人で行ってよかった」 といったのを

    聞きつけたらしい。

    2人ともブログ「かもめや日記」にときどきコメントを入れてくれるので、

    ご存知の読者もいるだろう。

     

    たかりんさん、wakoさんとも夕張の出身で、

    たかりんさんと私が友達なので、いつのまにかwakoさんとも友達になった。

    たかりんさんは学生時代からクラス1の勉強家。

    私のように、向かいの大学にいって、

    落語研究会をのぞいては笑ってばかりいた遊び人とは違うのである。

    あっ、このブログにコメントを入れてくれる常連さんは、

    落語研究会にいて、命かけて高座に上がっていた人たちだった…

     

     今回のクラス会で、出席した人たちが、短い近況報告したあと、

    トリで、たかりんさんが源氏物語の講義、講演をしてくれた。

    そんなサプライズがあるとは知らず、突然のプレゼントにびっくり。

    テーマは、源氏物語に出てくる「老い」について。

    あの猛暑の中、また忙しい中を、彼女はこの日のために 相当準備をしていたらしい。

    講演はすばらしく、卒業以来ウン十年、家庭を持って子育てをしながら 勉強を続け、

    いまも名古屋の大学で講義をしている。

     

    わが宿で、深夜まで語ったとき、 「あの講義は、ほんとうによかった。

    時間がたりなくて もったいなかった。こういっちゃぁなんだけど、 落語の名人の語り口みたいだったわ」

    といったら、 「それはうれしい感想だわ」といってくれた。

    年を重ねて、人間の、また物語の考察が深みを増し、 いぶし銀のような味わいが残る。

    この日のために、かもめやに、wakoさんから「たかりんさんに食べさせて」 といって、

    ごちそうが届いていた。 この人たちの友情って、すごい。 そのごちそうを、私がパクパク。

    「濡れ手に粟」って、こういうことを言うのだろうか。

     

     たかりんさんはまた、人々への思いが熱く、 「東に病気の子供あれば、行って看病してやり、

    西に疲れた母あれば、行ってその稲の束を背負い」… 宮沢賢治のような人だ。

    クラスの友人に何かあれば、いつもいの一番に助ける。

    だから、彼女が来るといえば、 みんな何をさておいても集まってくる。

    この人の心の熱さは、どこから来ているんだろうと考えたことがある。

    そういえば、お父さんは夕張炭鉱の山を束ねる人だった。トップだ。

    「炭鉱の人は、朝、奥さんが必ず夫を玄関まで見送るのよ。

    これが今生の別れかもしれないから」 そんな話を聞いたことがある。

    この話は、なぜか忘れられない。

    石炭を掘る人は、毎日命がけで坑道に入った… そんなヤマの大勢の鉱夫たちに慕われていたお父さん。

    「父は、男らしい人だった」と彼女。

    このお父さんが病に倒れ、3人姉妹の長女の彼女は、十数年自宅で介護した。

    彼女の人に対する熱さ、物事に対する熱さの背景に

    私が一度も会ったことがない、彼女の父を見る。

     

    そうだ、この熱さは、また、もしかすると、 石炭を燃やした熱さかもしれないな。

    「炭鉱は、石炭だけは豊富だったから、ストーブはどんどんたいて、

    冬はとってもあったかかったのよ」ともいっていた。

    炭鉱出身の人の人生は、なぜか熱い。

    | - | 06:53 | comments(4) | trackbacks(0) | - | - |
    夢で逢いましょう
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       あっという間に9月も上旬をすぎてしまった。

      この夏もまた例年のように忙しく、 体がついていくのがやっと。

      懐かしい顔ぶれのお客さんも見えて わが宿ながら、

      10年の仕事の歴史を感じる。

      小さな下宿のような店ながら、 いいお客さんに恵まれているのが自慢だ。

      下宿人なら、中には困った人もいるだろうが、

      うちの宿は、お客さんが宿を盛り立ててくれる。 年のせいもあって、

      体はボロボロになっているが、 全国から来てくれるあの人、この人で、

      かけがえのない財産ができた。

       

       疲れて動けないとき、ちょっとの時間をみつけて

      水族館のある祝津に、海を見に行った。

      子供のころからよく海水浴に行った場所だが、

      久しぶりに高台に上って海を見渡すと、

      その眺めは、ほんとうに雄大ですばらしい。 人間は100年生きたら

      さすがに朽ち果てるが、 自然は頑としてほとんど変化しない。

      人間の小ささと、自然のスケールの大きさを 改めて感じる。

       

      この夏、たくさんのお客さんが来た中で、 おもしろいエピソードを

      残していった人がいる。

      年輩の男性が一人で四畳半の和室に泊まった。

      ほかのお客さんは、みんな帰ってしまったが、

      なかなか部屋から出てこない。 やっとのことで現れたと思ったら、

      「いや〜、いい夢見たよ。この部屋はいいねぇ」とニコニコしているのだ。

      「高校時代の初恋の人が夢に出てきたんだよ、それもはっきりと」

      「えっ、その人はいくつぐらいで?」と私。

      「いや、高校生じゃないんだけどね。30ぐらいかなぁ」

      「その後、会ったことはあるんですか?」

      「うん、去年クラス会で卒業以来初めて再会したんだ。

      夢がとってもリアルだったから、うれしくて。 そうだ、東京へ帰ったら、

      彼女の住所を調べて、さっそく手紙を出そうと思ってね。

      いま、ここでその手紙を書いていたんだよ」

      「それはよかった。この部屋は夢で初恋の人に逢える部屋、

      っていうの、いいですね」

      すると息子が「≪夢で逢いましょう≫ですね」 なんて、たまには粋なことを言う。

      そんな昔のテレビ番組があったことを、彼は知らないはずなんだが…

      「この宿は郷愁を感じるね」とお客さん。

      そして、帰り間際に

      「早く手紙を出そうっと。俺たちにはもう時間がない」

      その人は70歳だといった。

      話を聞いて、私もうれしくなった。

      そう、かもめやは、「夢で初恋の人に逢える宿」なんだ。

       

      つい最近、わが宿で、念願のたかりんさんとの再会を果たした。

      その話は次回に。

      おっと、またデータが消えちゃうといけねぇ。

       

      いつ見ても美しい

      昔はここで泳いでいた

      向こうに見えるはトド岩。小樽の人ならだれでも知ってる

      日和山灯台と右の赤い屋根はにしん御殿。山の下は水族館の仕切り

      | - | 07:31 | comments(7) | trackbacks(0) | - | - |
      下町風情
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        お盆が過ぎて、日暮れが早くなった。

        時折涼しい風が吹き、トンボをみかけたりすると、

        「そうか、もう秋なんだ」と思う。

        「北海道は、お盆を過ぎたら、秋風が吹く」と昔から

        よく言われていた。

        それにしても、宿の方は、毎日まだまだお客さんでぎっしりだ。

        私と息子はへろへろになっている。

        雨の後などで、いつもより涼しいとき、

        本州からのお客さんが、「このストーブ、使えるんですか」

        なんていうので、「そりゃぁ使えますけど、北海道の人だって、

        さすがに8月にはストーブは使いませんよ」といった。

        本州から来て、10℃も低いと、ストーブつけようってことに

        なるのかな。

         

        2か月ぐらい前に、下町の実家に引っ越してきたが、

        自宅で寝たのは数回しかない。たまに家に帰ると、

        民宿に泊まる気分になる。

        かもめやからはだいぶ近くなったが、子供時代を過ごした

        このあたりは、ひっそりとしている。

        昔、町内を仕切っていたおじさん、おばさんたちは、

        すでに亡くなっていて、

        寂しさを慰めてくれるのは、通りに面した家々が、

        軒下に色とりどりの花を植えた植木鉢をを並べていることだ、。

        坂の上に住んでいたときは、庭のある家が多く、

        植木屋さんがよく手入れをしているのを見かけたが、

        町なかでは、そんな場所もなく、

        それでも人々は狭い場所に上手に草花を植えている。

        母は毎年ベランダに朝顔の大きな花を咲かせ、

        80過ぎたある年、「この花をいつまで見られるのかなぁ」

        としみじみ言ったことがある。

        そんな母は、翌年施設に入り、すぐに何もできなくなってしまった。

        朝顔を見ると、いつもこのことを思い出す。

         

        かもめやも、今年で開業10年を迎えた。

        全国からたくさんのお客さんが来てくれ、

        親戚みたいになった人もいる。

         

        私はこの仕事を通して、少しは成長しただろうか。

        自分としては、これといった成長は自覚できないが、

        店先を少しでも明るくしようと、それまでやったこともない

        ガーデニングをするようになった。

        少しずつ草花の性質を覚え、試行錯誤の末、

        丈夫な花をなんとかきれいに咲かせることが

        できるようになった。

        自分の中では、これが一番の成果かもしれない。

        そして、犬まで飼って…

        動物、植物、生き物の世話は、これでいいということがない。

        そして、自分の成長もまた、これでいいということがない。

         

        話は変わるが、世阿弥の言葉に「時分の花」、「まことの花」

        というのがある。

        「時分の花」は、若いときの美しさは一過性もの。

        修業を積んでいくうちに、中味のある本当に美しい「まことの花」が咲く。

        老木も、葉が落ちて枯れていっても、小さな花が残るというものだ。

        さぁて、「どっこいしょ」、まことの花を咲かせるために、

        今日も重い腰をあげることにしよう。

         

        かもめや近所の朝顔

        軒先園芸が心をなごませてくれる

         

        下町の古い建物を生かした店

         かもめやもささやかに花を咲かせている。なみだぐましい努力

         

        | - | 09:27 | comments(6) | trackbacks(0) | - | - |
        「夏の思い出に、廃線を歩く」
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          あ〜ぁやんなっちゃった、あ〜驚いた

           

          ほんとにほんとに、今はこんな心境だ。

          数日前、ほぼ1か月ぶりに長いブログを書いた。

          やれやれ、と思って保存しようと、ちょとマウスをさわったら、

          あらら、ぜ〜んぶ消えてしまった。

          この悔しいことったら…。

          宿も繁忙期に入り、忙しくてへとへとで、

          なかなかブログが書けなかった。

          一念発起してあれこれ書いたのに、

          一瞬にして水の泡。

          パソコンは文明の利器でなくて、文明の凶器だ。

          しばらく落ち込んで、なんも書く気が起こらなかったが、

          思い直して、また書き始める。

          このあとも、なぜか、何回も書いては消え、書いては消えして、

          すっかりやる気が失せた。

          こんなことぐらいでめげていたら、災害に遭って途方に暮れている人は、

          どうやって立ち直ったらいいのか。

          そんなことを考えてしまった。

           

          まず先に書いておくことは、

          7月はじめの日本経済新聞で、「夏の思い出に廃線を歩く」という

          特集があり、小樽の手宮線跡が、人気日本一になった。

          わが宿の裏あたりが、その中でも一番いい場所だ。

          早朝に線路跡を歩くと、ほんとうにすがすがしい。

          どんなに疲れていても、落ち込んでいても、

          ここを歩くと、自分を取り巻く重く汚れた空気が

          一掃される。

          「重く汚れた空気」というのは、

          そう、自分の吐いた毒、といってもいいのかな。

          人のせいにするのはやめるとして…。

          とにかく、静かにゆっくりと本来の自分に戻ることができる。

           

          ちなみに、人気2位は、高千穂鉄道(宮崎県高千穂町),

          3位 同和鉱業片上鉄道(岡山県美咲町)

          4位 横浜港貨物線

          5位 JR信越本線(碓氷線)

          6位 神岡鉄道神岡線(岐阜県飛騨市)

          7位 国鉄宮原線(大分県九重町・熊本県小国町)

          と、まだまだ続く。

           

          日頃の忙しさやストレスで、自分を失いつつあると

          感じている人は、わが宿の裏の線路跡遊歩道で、

          自分を取り戻して。

           

          この前はこの後たくさん書いたのだが、

          また消えちゃうといけないので、今日はここでやめておこう。

           

          旧手宮駅から、小樽駅方向を臨む

          前方の小高い緑が手宮公園

          レンガの煙突がノスタルジックな風景

           

          息子が写真を入れてくれるので、文章公開と時間差ができてしまう

           

           

           

           

           

           

           

           

           

          | - | 07:24 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
          マルコの里帰り
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             わが家に、近郊の牧場で生まれたビーグル犬が来てから9か月になる。

            この犬と人間が共生するのには、凄まじい戦いがあった。

            今もそれが続いている。

            人間の赤ん坊を育てるのは、もっと大変だが、

            動物には人間と違う習性があり、飼い主の言うことがわかるのか

            わからないのかがわからないので、

            こちらは、少しはわかるのだ、という想定のもとで

            しつけをすることになる。

             

            ビーグル犬は、それほど大きくない体に、ものすごいパワーを

            秘めている。

            1日のパワーを使い切らないことには納得せず

            暴れるので、犬のパワーを出し切るまで運動させることが必要だ。

            おかげで、息子は1日4〜5km散歩させることになり、

            彼自身もかなり丈夫になった。

            スポーツジムなどに行くより、ずっと効果がある。

             

            このマルコが1歳になったので、生まれ故郷の牧場に連れて行って、

            両親と、お世話になったスタッフに会わせようと思った。

            ある晴れた日の午後、牧場を訪れた。

             

             実は、父親らしき犬は見ていたが、母犬には会ったことがない。

            マルコを連れてくるとき、名残惜しそうに世話をしてくれた

            牧場の場長さんに、ぜひとも会わせたいと思っていた。

            丸太のレストランの入り口で、いつもソーセージを焼いている

            物静かな男の人がいる。

            その人がいるはずと思っていると、なんとそこには、

            若いアメリカ人の男性が、慣れない手つきでソーセージを焼いていた。

            私は、場長さんの名前を言って「その人いますか?」というと、

            わからない様子。

            息子が英語で聞くと、自分は、ここへ来てから1週間しかたっていなくて

            その場長は、洞爺湖のほうへ異動になったらしいというのである。

            そして、事務所のスタッフは、すべてアメリカ人になっていた。

            この牧場は、アメリカのアリゾナの牧場と親しい関係にあると聞いていた。

            「え〜っ、あんなにかわいがってくれた場長さん、いないの?」

            と、がっかり。

             

            そこに、黒と茶の年上のビーグル犬が放し飼いになっていて、

            お客さんが食べているソフトクリームをねだっていた。

            「あの犬、名前はマルっていうんだ」とアメリカ人のスタッフ。

            こちらはマルコを連れていって、

            「この犬は、ここで生まれたんですよ」

            というと、びっくりした様子。

            「名前は?」と聞かれ、「マルコっていうの」

            というと、アメリカ人は「えーっ、グウゼン?」という。

            私たちは、たどたどしい日本語を話すアメリカ人の口から「グウゼン」

            という言葉が出てきたことに驚いた。

             

            「マルコは、1年前に生まれたんだけど、お母さんを

            見たことがないの。ここにメスのビーグルはいますか?」

            と聞くと、「いないねぇ、そういえば、去年の秋に、メスの

            犬が死んだと聞いたよ」と、アメリカ人はいう。

            そして、いつも外につながれていた父親もいなかった。

            マルコが生まれたときにいた両親も、牧場の場長さんや

            日本人スタッフはだれもいなくなっていた。

             

            マルコが生まれたときに入っていたわらを敷かれた柵の中に

            たくさんの小さなウサギがいて、

            その中に、1匹の4〜5歳のビーグル犬がいた。

            マルコを柵越しに近づけたが、どちらもあまり

            うれしそうでもない。

            この犬も、マルコの何代か前の兄弟かもしれないのに。

            それにしても、ビーグル犬は、ウサギ狩りをする犬だと聞いたのに、

            獲物がたくさんいる柵の中に犬を入れておくのも

            どうなんだろうと思う。

             

            マルコはわが家に来てからというもの、

            息子といつも一緒にいるので、

            ちょっとでも彼がいないと、クンクン、ワンワンいって大変だ。

            この飼い主とは、親兄弟以上の関係だ。

             

            故郷に帰ってみたら、父も母もいなかった。

            いたのは、親戚か、何代か前の兄弟が2頭。

            「あんまり親しみを感じないなぁ」これは、マルコの感想だ。

            ちょっと寂しく「かわいそうだなぁ」と飼い主の私たち。

             

            そこで思ったことは、人間も、生みの親より、育ての親の方が

            何倍も大切な存在だということだ。

            共に暮らす、あるいは育てることにこそ意義がある。

             

            別の言い方では、遠い親戚より、近い他人。

            マルコからすると、「遠い親戚犬より、近い飼い主」ということか。

            「マルコ、おまえに実家はないのだよ」…

             

            かわいい馬がお出迎え

            親戚の年上ビーグルにマルコが話しかけても、そっけない様子

            ウサギの柵にいる兄弟らしきビーグル

             

            おとなしいアルパカ

             

             

             

             

             

             

             

             

             

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