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かもめや日記

北海道小樽市にある小さな宿「おたる北運河かもめや」のブログです
おたる北運河かもめやのホームページは http://kamomeya.main.jp
蝶々さんのこと
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    緑が濃くなってきて、本格的な旅の季節が到来した。

    バイクで四国からやってきた年配の男性は、「これから2か月ほど

    北海道でキャンプをしながら過ごすんです」という。

    暑い季節を四国で暮らすより、涼しい北海道の自然の中で暮らすのがいいという。

    それにしても、この人は60代半ば。

    体がもつのだろうか。

    日頃は地元でスポーツクラブに通い、体を鍛えているという。

    こんな老年?の過ごし方もあるんだ…。

     

    同じ時期、北海道のある町からやってきたスタイリッシュな中年の女性は、

    一夜、居酒屋へいったり、銭湯へいったりして、気楽に過ごしたいと言っていた。

    翌朝、「ゆうべは、駆け足で、行きたいところへ全部行けました」

    と満足そうに話した。

    「夜遅くこの宿に帰ってきたんですが、おかみさんがいなくて。

    でも、安心してゆっくり休めました」という。

    私は2階にいたのだが、いつもお客さんが帰ってくるとき

    「おかえりなさい」と迎えるわけではない。

    なにしろ体力がないので、それができないのである。

    「普通、人がいないこういうところでは、注意書きがあちこちに

    貼ってあるんだけど、それもないし、いいのかなぁって」

    「うちは、12年やっているけど、悪い人が来たことは、

    一度もないんですよ。お客さんのトラブルは、一度もないの」

    と私は、当然のように言った。

    「え〜っ」と驚く彼女。

    「実は私、消費者センターで仕事をしているんですが、いま、

    だまされた人が多くて、取られたお金を少しでも取り返してあげようと、

    毎日悪い人のことを、あれこれ探っているんです」

    「それはそれは、ストレスがかかるでしょうね。だから、たまには

    旅に出て、発散しないと…」

    「そ〜なんです。それで昨夜も…」

    「うちの宿とは、対極的なところでお仕事をしているんですね」

    「そうです。だから、こんな宿があるのは意外です」

    「確かに…。でもね、人は生まれたときはみんないい人だったのよ。

    だけど、どこかでボタンを掛け違えたのね。そこから悪の道に走る

    ことになるんでしょうけど」

    彼女の仕事でのストレスが、自然とこの宿を選ばせたのかもしれない。

     

    「ところで、おかみさん、この宿に、銀座でホステスをしていた

    蝶々さんというエッセイストが来たの、知ってます?」という。

    「え〜っ、そんな人が来たの?知らないわ」と私。

    「この人、結構有名なエッセイストなんだけど、その人が

    このかもめやのこと書いていたんですよ。冬に来て、雪かきをしたんですって」

    数年前、大雪の時期に、関東から若い女性が来て、

    3日ほど滞在して、本気で雪かきをしてくれたことがある。

    きゃしゃできれいな人だったけど、

    あまり真剣にやるので、聞いてみたら彼女は

    「中高と、砲丸投げの選手で、県大会にも出たことあります」といっていた。

    でも、あの人じゃなさそうだし。

     

    「蝶々さんって、ほら、この人」とお客さんがスマホで見せてくれたのは、

    美しく魅力的な女性だった。

    確かに、銀座のホステスナンバーワンになりそうな人だ。

    この人は、たくさん本を出していて、

    ベストセラーになったようなものもあるらしい。

    「銀座小悪魔日記」、「小悪魔な女になる方法」など。

    そして「おじさまバイブル、モテの極意」こんなタイトルが目についた。

    「小悪魔」というのが、この人の愛称のようだ。

    「小悪魔」ねぇ。

    どうしてこの人が、この宿に…。

    それこそ私と対極にある人だ。

    そうねぇ、共通点といえば、小悪魔と、銀座に勤めていたことがある

    ということかな。

    ただし、私の小悪魔は、身長が低くて、口が悪い「小悪婆」とでもいったら

    いいか…。

    仕事では、銀座2丁目に編集部があった、そこに少しいたことがある。

     

    宿をやっていると、思いがけないお客さんが来る。

    わが宿の自慢は、開業以来、悪い人が一度も来なかった、ということだ。

    「そんなら、行ってやろうか」と、この日記を見て

    悪い人にやる気を出させても困るんだが…。

     

    運河公園の噴水にかもめが…

    ぼくは入っちゃダメなのカモ…

    日本郵船の建物前の噴水

     

     

     

    | - | 07:38 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
    牡丹のような
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        牡丹花は 咲き定まりて静かなり 花の占めたる位置の確かさ

                         木下利玄

       

      手宮公園の海が見える斜面に、牡丹園ができた。

      まだそんなにたくさんではないが、深紅やピンク、ときどき黄色や白の

      牡丹が、あでやかな花をつけ、いい香りを放っている。

      花に近寄り、香りをかいでいると、ふと冒頭の短歌を思い出した。

      牡丹は長く咲かず、本当に美しい時期は短い。

      白い牡丹がひそやかに咲いているのを見たとき、

      なぜか身の引き締まる思いがした。

       

      その白牡丹にも似た女流歌人が、札幌からわが宿を訪れた。

      Johnさんのコメントにもあった、91歳の女性である。

      彼女よりだいぶ年の若い、気っぷのいい元運転手さんにつれてきてもらった

      という。

      高齢にもかかわらず、いまもしゃきっとして品がよく、

      宝塚の男役スターみたいな人。

      まさに白牡丹のひそやかな美しさをもっている。

      思うように体が動かないのを嘆いていたが、

      若いころの話になると、いきいきしてきた。

      「若い時は、さぞモテたでしょうね」というと、

      「そうね、女学校の時は、女の体操の先生にひいきされて

      たいへんだったのよ」という。

      スポーツはなんでもできたから、その独身の先生が、

      「私が学費を出してあげるから、体育大学に行きなさいっていうの」と彼女。

      「そ、そんなことがあるんだ…」と私。

      今は時効だから何でも話せる。

      しかし、戦時中だったので、「父が遠くへ行くのは危ないから

      やめろと…」

      終戦の時は18歳だったという彼女の青春は、想像に難くない。

      先生にえこひいきされるので、学校ではいじめにあったという。

      「でもね、学校から帰る途中、北大のポプラ並木のところを

      通ると、先生が待ち伏せしてるのよ」

      その女の先生、よっぽど彼女が好きだったと見える。

      それほど彼女が美しかったのだろう。

      昔の人らしい慎み深さと、のびのびとした女の子らしさ?を

      いまでも感じさせるこの人は、それでも私のことを

      気にかけてくれる。

      「あなた、けなげにはたらいているから、

      ちょっとでも応援してあげたいと思って…」

       

      人生の先輩の思いやりには、胸が熱くなる。

       

      さて、このところ読んだ本は、イラストレーターの大御所

      山藤章二の「自分史 ときどき昭和史」。

      この人もついに80歳ぐらいになった。

      世の中の有名人を辛辣に描き、にくいね、と思うくらい

      特徴をつかんだ似顔絵で表現したこの人の作品が好きだ。

      「山藤章二のブラック・アングル」で、週刊誌の読者を

      おっ、と言わせたこの人は、落語が大好きだった

      ということを知った。

      そうか、あの粋でおもしろい独特のセンスは、

      落語からきていたのか、と、ちょっと驚く。

      特に、立川談志とは相当親しかったようで、

      彼にひかれていたらしい。

      私はあまり談志が好きではないが、男性で談志が好きな人は多い。

      「何でかな?」と思うのだが、あの独善的でわがままっぽいところが、

      男のあこがれなのかな。ああなりたくてもなれないという…。

       

      山藤章二は、「古今亭志ん朝には、船に乗せられてゆっくり

      江戸に連れていかれるが,談志は江戸をこっちに引っ張ってくる」、

      といった。

      なぁるほどね。

       

       バックグラウンドに落語をしきつめ、山藤章二は

      昭和の粋な風刺絵師となった。

       

      手宮公園の牡丹園

       

      山藤章二の描いた立川談志

       

       

       

       

                     

       

       あ

      | - | 08:04 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
      モンマルトルの画家に想う
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        友人のマリコさんが、庭に咲いたというスズランと稚児ユリの花を

        小さな花束にして、持ってきてくれた。

        可憐な白い花とうす緑の葉の清楚な美しさは、

        心が洗われるようだ。

        スズランの優しい香りが好きで、同じ香りの香水を探したことも

        あったが、この天然の匂いに近いものは、いまだみつかっていない。

         

        スズランは、北海道のシンボルの花のようにも思われているが、

        わが地が、この花のイメージにふさわしいなら、

        とてもうれしく誇らしい。

         

        桜が終わって、北海道はこれからが一番いい季節だ。

        花々が一斉に咲き始め、昼間はカラりと晴れて暖かく、

        朝晩はヒンヤリした空気が心地よい。

         

        こんないま、花の美しい小樽公園の近くにある

        図書館に行って、書架の中に、ユトリロの画集を見つけた。

        パリのモンマルトルあたりの街角を、哀愁あふれるタッチで描いた

        彼の絵には心惹かれ、魂が引き込まれる。

        パリには行ったことがあるが、ユトリロの絵をほうふつとさせる

        場所があり、その場に立ち止まってその空気を感じ、

        心に深くやきつけておこうと思った。

         

        ユトリロの母は有名な画家たちと交流があって、モデルにもなり、

        自身も絵の才能がある奔放な女性のようだ。

        ユトリロは、父親がだれかわからないという生い立ちで、

        中学生のころから酒を覚え、精神を病んだという。

        人気のない白い建物と寂しい道を描いた若い日の作品が

        特に傑作といわれるようだ。

        後年、彼は明るい色を使って、人々の歩く街を描くようになるが、

        しっくい、チョーク、セメントや砂と白の絵具を使ったといわれる

        「白の時代」の若き日の作品が、ユトリロを人々に知らしめる

        ことになった。

         

        「またパリに行って、モンマルトルのこの絵の場所を訪れたい…」

        私もここ1週間ほどこの画集を見て、

        「白の時代」の作品に心が吸い込まれ、

        毎日ユトリロの心境に思いをはせていたのである。

         

        もうこの画集を図書館に返そう、いや、もう少し見ていたい…。

         

        すると、電話が鳴った。

        「あの、8月に家族で、かもめやさんに泊まりたいんですけど」

        と女性の声。

        「はい、いまならあいていますよ」

        「あの、夫と子供が2人で、夫は大きいんです。一部屋に寝られるかな。

        今、私たちは、フランスに住んでいるんです。夫はフランス人で、

        私の実家は名古屋なんです。夏に帰省したとき、

        小樽に行ってみたいと思って。小樽は初めて」。

        「えーっ…、私、フランス大好きで、パリが好き。いまもユトリロの画集を

        みていたところなんです」と。

        「いま、これ、フランスから電話しているんです。小樽の旅館をネットで

        さがしたら、いっぺんにかもめやさんが出てきて、ブログを読んだら、

        おかみさんに会いたいなぁと…」親しみのこもった声が流れてきた。

         

        こんなことってあるのだろうか。

        驚きが止まらない。

        「日本人は、テロなどあるから、フランスは好きじゃないと

        思っていたんですが」と、彼女は言った。

        それはそれ、私はフランスが好き。

        モンマルトルは、いつも記憶の中にあざやかによみがえる。

         

        急に、この電話の彼女と距離がちぢまり、

        8月の来宿が楽しみになった。

         

        スズランと稚児ユリ

        ユトリロのモンマルトルの絵

         

        モンマルトルのシャップ通り

         

         

         

         

         

         

         

        | - | 06:19 | comments(3) | trackbacks(0) | - | - |
        桜と瞑想
        0

           近年にないほど長かったゴールデンウイークも終わり、

          にぎわった街に、やれやれという雰囲気が漂う。

          わが宿も久々に?ぎっしりのお客さんで、

          終わってみると、ぐったり。

          こちらは、日常のシルバーウイークにもどったが、

          心身、伸び切ったゴムのようになって、

          なかなか元気が出ない。

           

          気がついてみると、桜もすっかり散ってしまったようだ。

          息子が、マルコを散歩させるため、毎日夕方手宮公園に行っているが、

          終わりかけた桜の様子を、写真に撮ってきた。

          散りゆく桜も、淡いレースのようで、なかなか美しい。

           

          年のせいか、疲れが取れず、次の仕事をこなしていけるのか

          心配だ。

           

          仕事が忙しい時は、逆にお客さんを待つ時間も多くなり、

          本を読んでしまう。

          「なぜ自分はいま、この仕事をしているのだろう。

          残り少ない人生の目的は?」など、いつもの考えが

          頭をめぐる。

          すると、すぐにスイッチが入って、答えが出ない坑道の中へ

          吸い込まれていくトロッコのように、考えが走り出してしまう。

          これが疲れの一つの原因だ。

           

          「疲れない心」を科学的につくるには?

          ──脳科学と瞑想のあいだ

           

          こんな見出しを持つ本に、ついついひかれる。

           

          ─ 脳のすべての疲れやストレスは、過去や未来から生まれる。

          すでに終わったことを気に病んでいたり、

          これから起きることを不安に思っていたり、

          とにかく心が いまここ にない。

          この状態が慢性化することで、心が疲弊していくのだ。─

           

          そういって、瞑想と呼吸法について語っている。

          「瞑想か…」

          居眠りはよくするんだけど、瞑想とは違うんだよね。

          ま、居眠り・睡眠は、脳を休めるのにはいいことなんだけど。

           

          大切なのは、いまここに心を集中することだ。

           

          疲れをとるためには、どうしたらいいかと考えていたら、

          桜のことにも思いが至った。

           

          桜は、咲き始めてから満開になり、散っていくまで

          ほんのわずかな期間だ。

          満開の時期は、まさに「いまここ」。

          だから美しい、ともいえる。

          一年中咲いていたら、人は桜にここまで心が惹かれないのでは?

           

          人も、美しく生きたければ、いつも「いまここ」の心であることが

          大切なのかもしれない。

           

          手宮公園の桜も終わりかけている

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

          | - | 07:21 | comments(5) | trackbacks(0) | - | - |
          さらば平成
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            白樺 青空 南風

            こぶし咲く あの丘 北国の

            ああ 北国の春 ♪

             

            だれでも知っている、千昌夫の「北国の春」。

            歌謡曲の歌詞は、本当に常套句だなぁと思うが、

            雪囲いをはずして、入り口の門扉を開けた手宮公園に

            足を踏み入れてみたら、こぶしが満開。

            ところどころに早咲きの桜が咲いてはいるものの、

            まだまだ風は冷たい。

            眼下に広がる海の青が、心を和らげる。

            「北国の春」の歌が、自然と口をついて出てくる。

            この歌詞を作った人は、本当にこの北国の春の感覚を

            経験したんだなぁと、心から納得する。

             

            時はまさにゴールデンウイークの10連休。

            わが宿もお客さんがぎっしりで、日本中の人が、地の果てまで

            移動しているんだなぁと実感させられる。

            そして、平成も今日で終わりだ。

            戦後の私たちとともに歩んでこられた天皇ご夫妻には、

            戦争責任という言葉を投げかける気持ちは起こらず、

            ある種の親しみを感じる。

             

            日経新聞の歌壇に、こんな歌が載っていた。

             

            年とるは 大変なれど よき事と思えり 

            天皇(すめらぎ)のお顔仰ぎて

             

            両陛下に心から慰労の気持ちをかけたくなる、昭和生まれの人々の気持ちを

            歌っていると思った。

             

            全国からわが宿にやってきた旅人は、みな小樽の良さを

            肌で感じているようだ。

            観光の中心、堺町のお土産屋さんの通りは、東京でいえば

            原宿の竹下通り並みの人出だが、わが宿、かもめやのある

            北運河付近は、ひっそりとしている。

            それがまた、なんともいい空気をかもしだしている。

             

            先日、愛知県から来た中年の男性は、「小樽が好きで好きで、

            ネットで調べて、情報を仕入れているんです。友達もできました」

            という。

            「今回は、小樽の友達に会うことも目的ですが、ネットでみつけた

            かもめやさんのおかみさんの本『ポーが聞こえる』を読んで、

            ぜひかもめやに泊まって、これを書いたおかみさんに会ってみたい、

            と思ったこともあるんです」と。

            「え〜っ、私の本をネットで見つけた人なんかいるんだ」と驚く。

            少ししか作らなかったので、もう手元には1冊もない、といっていい。

            この人は、中古のを見つけたそうだ。

            ありがたいことだ。

            自分では、この本のことは、もう遠い日の日記、ぐらいに思っている。

             

            この人は、出かけて、友人たちと遅くまで飲んで楽しんだようだ。

            翌朝、「きのう、みんなに、おかみさんに会ったことをいいました。

            昔の文学少女が、そのまま大人になったみたいな人だ、って」

            え〜っ、と私の方が驚く。

            いままで、そんなこと、誰にも言われたことがなかったから。

            「文学少女」という言葉さえ、今は使われているのかどうか…

            この人も古いなぁ。

            といっても、そんなお年でもなさそうだが。

            そうか、小樽が好きな人には、そんな昔の言葉にさえ

            親近感を覚える感性の持ち主がいるのかもしれない。

             

            小樽には、絶滅危惧種の「文学少女」が、ひっそりと生息している。

             

            雪囲いを外した手宮公園

            こぶしが花開いている

            風がひんやりと冷たい。桜の開花はあと一息

             

             

             

            | - | 08:07 | comments(5) | trackbacks(0) | - | - |